緑の指―ガーデニングの愉しみ (PHPエル新書)
緑の指と緑の心 |
私はてっきりこの本を、庭でのあれこれを記した、趣味の本のように思っていた。
そして、割ときっぱりとものを書く曾野さんが、ガーデニング指南…?とも思っていた。
しかし読んでみれば、それが間違いであることが分かる。
三浦、東京、シンガポールの家、日本財団の仕事や取材旅行で訪れた外国での話
がちりばめられ、植物と人間、風土と価値のような話がじんわりと広がっていく。
そして、相性(植物との)が悪いものは悪い、難しいものは難しいと素直に認め(ある
いは諦め)、日本では到底路地では育たないとされるものが、見事に大株に育って
いく様には、曾野さんと並んで、ほほぅ…と顎を撫でたくなるのである。
庭の本を書く人には、得てして「ガーデニング呆け」か「まるで農夫」のような場合が
多いが、その点、曾野さんのこの本は、“いい加減”がなんとも清々しい。